ミーナークシ寺院

e0040591_15394098.jpgインドの南端を、ケララ州と二分し、最南端の町カニャクマリや、インド4大都市のひとつチェンナイを有するタミルナードゥ州。そのほぼ真ん中にある、マドゥライという町を訪れた。
この町のシンボルとなっているのは、ミーナークシ寺院。東西南北に4つのゴープラム(塔門)を持ち、16世紀にほぼ完成した歴史を持つ、ドラヴィダ様式の巨大なヒンドゥー寺院だ。最も大きな南のゴープラムは高さ60m。壁面は極彩色の神々や怪物、動物の像でびっしり覆われており、これらの像の数は4つのゴープラムを合わせると3300体にものぼるという。その迫力と派手さは、圧巻のひと言。


e0040591_1540483.jpg寺の規則に従って靴を脱ぎ裸足になって、正門に当たる東門から中へ入ると、境内に象がいた。バナナや小銭を差し出すと、それを鼻先で器用に受け取り、参拝者の頭をなでて祝福してくれる。インド人に倣ってわたしも1ルピーコインを渡すと、その長い鼻でわたしの頭を小突くように撫でてくれた。
象は、渡されたものがバナナならその場で丸ごと食べ、コインならば鼻の穴にいくつか溜めた上で象使いに渡す。何とも、賢い。


e0040591_15404537.jpgミナークシというのは「魚の目を持つ女神」を意味する。元はドラヴィダ民族土着の女神だったが、ヒンドゥー勢力が北インドから南インドへ拡大してきた折に、ヒンドゥー教の主神であるシヴァと結婚させられ、現在はパールヴァティー(シヴァの妻)として祀られている。
女神にはもともとアリャハルという夫がいたのだが、女神がシヴァと結婚してしまったため、アリャハルはミーナークシの兄に格下げされ、今はヴィシュヌ神(シヴァと並ぶヒンドゥー教の2台神格)として、別の寺に祀られている。
神様といえども離婚したり、前夫が自分の兄になったり、この辺の人間臭さや意味不明さがインドらしい。


e0040591_15414582.jpg寺院内にはミーナークシ神殿とスンダレーシュワラ神殿というふたつの神殿があり、神殿内は異教徒の立ち入りが禁止されている。1日1万人ともいわれる参拝者が次々訪れ、神殿の前には長い行列ができている。神殿の外にはこれらの参拝者を目当てにした土産物屋がずらりと並び、電飾で光るシヴァ像などの神ざまグッズを、せっせと売っている。
境内で黒づくめの衣装に身を包んだ一団に出逢った。シヴァ派の巡礼者だ。他にも、黄色づくめや白づくめの集団がおり、いずれもバスを貸切り、あるいは列車で移動しながら、聖地巡礼の旅を続けている。


e0040591_1541568.jpg一度宿へ戻ってから、午後9時、再び寺院を訪れた。毎夜行われるクロージングセレモニーを見るためだ。
午後9時半、サックスのような音を出す長い笛と、太鼓による演奏が始まり、シヴァを祀ったスンダレーシュワラ寺院から、銀の神輿が担がれてきた。上半身裸の司祭たちによって、それはパールヴァティーの待つミーナークシ神殿へと運ばれていく。シヴァが妻の元へ戻る儀式のようだ。
我先にと神輿に触れる参拝者。ろうそくの明かり。延々と同じ調子で繰り返される音楽。
午前6時から参拝者たちの幾万という願いを聞き続けてきた神々の一日がこうして終わる。
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by tomokoy77 | 2007-01-05 16:04 | India  

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