カテゴリ:Argentina( 31 )

 

3週間

・・・全然ブログを更新してなかった。
今もブエノスアイレスです。気付けばもう3週間ここにいる。

なにしてるかって、最近まではダイエットしてました。
2週間で3.5kg痩せた。でもまだまだ。
あとはウルグアイに行ったりしてました。

日々、もっぱら人と関わってます。
移動するばかりが旅じゃないなと実感する毎日です。
時間をかけて人と深く関わっています。

日本で働いていたらなかなかできないこと。
とにかく人とたくさん喋って、関わって、旅よりもっと遠くに来ている感じです。
忙しさに邪魔されることなく、たくさん感じてたくさん考えられる、貴重な毎日を送っています。

今後の旅の予定は未だ未定です。
ブラジルに行くか、アフリカに行くか、それとも日本に帰るか。
でも、旅の終りが遠くにようやく見えてきた。
何月か分からないけど、今年中には帰ります。

ここ数日、ブエノスアイレスは雨続きです。
今も雨が降っていて、すこし寒いくらい。
今日は郊外で開かれる盆踊り大会に行く予定です。
盆踊りなんて何年振りだろう。とても楽しみ。
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by tomokoy77 | 2006-01-13 19:04 | Argentina  

大晦日のブエノスより 新年を迎えた日本へ

 あけましておめでとうございます!

旧年中はたいへんお世話になりました。

いつもメールをくれる友達に、ありがとう。
旅先で知り合ったたくさんの人たちに、ありがとう。
元気でそこにいてくれる家族に、ありがとう。

みんな、今年もどうぞよろしく!
2006年が皆様にとって良い年になりますように。


 ↓南米最南端、ウシュアイア、上野亭の看板娘トルーチャと
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by tomokoy77 | 2005-12-31 17:19 | Argentina  

イブの花火とプレゼント

e0040591_19585777.jpgブエノスアイレスに着いたのは、クリスマスイブだった。中心地から離れた宿にチェックインする。旅の途中に出会った人たちと、懐かしの再会。

夜の11時を過ぎた頃、宿の外が急に騒がしくなり始めた。屋上にあがってみると、夜空に花火が上がっていた。隣の家の屋上を見ると、家の人たちが集まって小さな打ち上げ花火を上げている。爆竹の様な音があちこちから聞こえてきた。

午前0時が近づくにつれ、花火の量はどんどん増えた。日本の花火大会でも見るような大きなものもあがるようになった。


 「パパ・ノエール(サンタクロース)!」

隣の家の子どもたちが、夜空に向かって叫んだ。
その様子はすごく微笑ましかったけど、こんなに花火がたくさん打ち上げられているんじゃ、
サンタもトナカイも危なっかしくて降りてこられないんじゃないかな?と思ったりした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この晩、イブの晩、ブエノスアイレスにいるわたしのもとにクリスマスプレゼントが届いた。
ずいぶん唐突だったので、とてもビックリした。

海を越えて送られてきたそのプレゼントは、きれいな包装紙で包まれてもいなければ、赤いリボンもかかっていなかったけど、箱の中には今いちばん欲しいものが入っていた。
嬉しかった。わたしが欲しいと思っているものを知って、それを送ってくれた人のいたことが。 

ありがとう。本当に、とてもとても嬉しかったよ。
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by tomokoy77 | 2005-12-24 23:59 | Argentina  

北へ

e0040591_2017207.jpg世界の果てから、いっきに北へ。
アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスへ。

ウシュアイアからブエノスまではバスで50時間掛かる。バス代は100ドル近くかかる。
飛行機で飛ぶと、3時間半、費用は105ドルだからバスと殆ど変わりない。

というわけで、飛行機を選択。
わたしは飛行機が好きだ。とにかく遠くに行けるから。
空港に着くと、テンションが上がる。


e0040591_20144582.jpg予定通り空港に着いたが、出発時刻になっても搭乗できなかった。わたしたちのフライトは1時間遅れで飛ぶらしい。待合室で日記を書いて出発を待つ。けれど、どうも落ち着かない。これから大好きな飛行機に乗って遠くへ行けるというのに。

ああ、そうか。フライト時間の長さという意味では、ブエノスアイレスはウシュアイアよりも日本に近い。これまで、日本からどんどん離れる形で移動してきたけど、今度は日本に近づいていくのだ。南下を往路とすると、これからは北上、復路に入る。


e0040591_20145637.jpgそっちには戻りたくない。その感覚は、山から町へ下りてくるときに似ていた。あるいは、旅を終えて日本に帰った1年前に。

日常に帰る。世間へ帰る。社会へ帰る。なにもかも便利すぎる都市生活へ。面倒くさい問題がごろごろ転がっている毎日へ。・・・うわ、書き出したらますます憂鬱になってきた。でも、そろそろ帰国後のことも考えなきゃなあ。
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by tomokoy77 | 2005-12-24 09:12 | Argentina  

南の果て

e0040591_206973.jpgチリのプンタアレーナスを出て、
アルゼンチンのウシュアイアに向かう。
ウシュアイアは南米最南端の町。
正確に言えば、ウシュアイアは島の上にあるし、
もっと南にもチリ領の町があるのだけど、
とりあえずはここが南の果てということになっている。

e0040591_2062749.jpgウシュアイアはフエゴ島という九州よりも大きな島の上にあり、大陸との間にはマゼラン海峡が横たわっている。

プンタアレーナスを出たバスは、
ほどなくしてフェリー乗り場に着いた。
バスごとフェリーに乗ってフエゴ島へ行くのだ。


e0040591_2064274.jpgマゼラン海峡は青銅色。空にはうろこ雲がかかっていた。

バスを降りて甲板の上に立った。
と、突然海から高飛沫があがり、全身ずぶぬれになってしまった。
それを見ていたイギリス人の老夫婦が、
「マゼラン海峡の海水をあびれるなんて君は運がいい」と言った。
ふたりはこれから南極へ向かうのだという。


e0040591_2065595.jpgフエゴ島に着いた。ここはまだチリ領だ。
再びバスに乗り、島を縦横に走っている
アルゼンチンとの国境を目指す。
島内は、草原と丘、遠くに山、
時折小さな家と羊の群れを見かけるだけで、
ずいぶんひっそりとしていた。



e0040591_2071359.jpg国境近くへ来て、雨が降り出した。
アルゼンチン入国はもう3度目。

夕方アルゼンチンのリオグランデという町に着き、
そこからさらにミニバンに乗ってウシュアイアを目指す。
ウシュアイアまでは、残りわずか200kmほど。


e0040591_2072280.jpg8ヶ月の南下の旅がもう間もなく終わろうとしていた。
雨は降り続き、車が峠にさしかかったところで雪に変わった。
と、ミニバンの運転手ルイスが言った。
「世界の果てが君を歓迎してるよ」
ウシュアイアは Fin del Mundo 世界の果てと呼ばれているのだ。

夜9時、ウシュアイアに着いた。
およそ1万kmの南下の旅が終わった。


e0040591_2073171.jpg翌朝、すっきりと晴れたウシュアイア。
初夏と言っても山には雪が残り、
日が翳るとダウンジャケットが必要なほど寒い。それもそのはずで、この町は南極まであとわずか1000kmの距離にあるのだ。

果てとか遠くとか端っことかが好きなわたしにとって、この町は最高だった。息をしているだけで幸せな場所。世界の果ての空気。
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by tomokoy77 | 2005-12-20 19:59 | Argentina  

レンズ雲

風のいっそう強い日、パタゴニアの空には”レンズ雲”という、
なんとも不思議な形をした雲が浮かびます。

その形はUFOのようであり、はたまた魚のようでもあって、
楕円形のその雲が浮かぶ空は、いつまで見ていても見飽きることがありません。

レンズ雲は、引き伸ばされ千切れ、肥大巨大化し、
潰れて薄くなり、膨らんで厚くなり、刻々延々と形を変えます。

UFOは突如として回遊魚の群れになり、回遊魚は鯨となって水しぶきを上げ、
鯨がオムレツになって湯気を立ち昇らせたかと思うと、
オムレツはにわかに潜水艦となって魚雷を発射し、
青空を突き抜けた魚雷は飛行船となって、遠い西の空に消えていきました。

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by tomokoy77 | 2005-12-17 18:51 | Argentina  

El Chaiten 2

e0040591_16335558.jpg午前2時すぎ、目覚し時計がピピピと鳴った。
寝袋から片手だけ出してそれを止める。

が、寝袋の外はひどく寒くおまけにわたしは寝不足で、
すんなりと起きる気にはとてもなれなかった。


この日の月は十四夜。空にはほとんど満月に近いまあるい月が浮かんでいるはずなのだが、それを思ってもなお体は動こうとしない。

そのまま眠りに引き戻されてしばらくたったとき、テントのジッパーを開ける音で再び目が覚めた。さっきの目覚しできちんと目を覚ましどこかへ出掛けていたカステンが戻って来たようだ。

テントに入った彼はすばやく帽子とジャケットを脱いで寝袋に滑り込み、
「月がきれいだったけど、西の空に沈むのはもう少し先だろう」と言った。
わたしはもう一度寝袋から片手だけ出し、目覚し時計を午前4時にセットして3度目の眠りについたが、次に目を覚ますと時刻はすでに午前5時をまわっていた。

「カステル、しまった、もう5時15分だ」
わたしは寝袋から飛び出し、ありったけの服を着込んで表へ出た。

e0040591_1649944.jpg朝の空気が頬にしんと冷たかった。

テントの周りは高い木に囲まれていて、フィッツロイの姿はよく見えない。
わたしたちはキャンプサイトを出て東へ向かった。
山から少し離れたほうが見晴らしが良いのだ。
森を抜け川べりに着いたところで振り返ると、フィッツロイは既に薄桃色に染まりはじめていた。

初め薄桃色だったそれはすぐに橙色に変わり、
褐色に燃えた後、黄金色に輝いた。


e0040591_1636767.jpg西の空にそびえるその山の色の移り変わりは、東の高い山に遮られて未だ姿を見せない朝日の色の変化そのものだった。

わたしのまわりには沼や池があり、太陽の光で温められつつある水面からはもうもうと水蒸気が上っていた。
池の反対側にまわり込むと、風のない水面は鏡となって金黄色のフィッツロイを映し出していた。
激しく鋭角に尖ったその山を足下に見て、ふと、シヴァみたいな山だと思った。


e0040591_16362210.jpgシヴァはヒンドゥー教の神のひとりだ。
こんなところで地球の裏側の神様を思い出すのもおかしな話だが、どういうわけか、空を背負うようにして直立するその山は、この大陸で信仰されているキリストではなく、遠いアジアのシヴァ、破壊と創造の神をわたしに思い起こさせた。

山は数分のあいだ眩しいほどに輝いたのち、本来の小麦色に戻った。
それを見届けてからわたしたちもキャンプサイトへ戻り、簡単な朝食をとって、フィッツロイ直下のロス・トレス湖へ向かった。



e0040591_16531196.jpg1時間ほど急な上りが続き、その先に8割方凍った湖とフィッツロイが現れた。辺り一面雪景色。湖へ近寄ってみると初夏というのに氷は厚く、その上を歩いて渡ることができた。

と、氷の表面に大小さまざまな大きさの穴がポコポコと開いている。なにかと思って覗いてみると、其々の穴に氷がひとつづつ氷漬けになっていた。


e0040591_1657090.jpgどうして石のあるところだけ穴が開くのかな?と不思議に思っていると、「太陽光で温められた石が熱を持って、まわりの氷だけ溶かすからだろ」と、カステンが言った。なるほど。

それはまるで石の標本のようで、そんな穴がいくつも開いている辺り一帯は、石の見本市かなにかのようだった。


e0040591_1654366.jpg湖の奥へ歩いていく。
ところどころ氷が薄くなっていて、そこには空気が閉じ込められていた。

さらに奥まで歩いていくと、湖の淵では氷が溶け、それが滝となってはるか下方に流れ落ち、100mほど下にターコイズブルーをしたもうひとつの湖を作り出していた。


e0040591_16545520.jpgトレス湖から流れ出した水は、その青緑色のスシア湖で一休みした後、再び滝となって川を目指す。
ペリトモレノ氷河で見たような,気の遠くなるような永い永い水の旅が、ここでも繰り返されていた。

1時間ほど後、キャンプサイトへ戻り早めの昼食をとっていると、わたしたちの隣にテントを張っていたイスラエル人たちが温かいお茶をご馳走してくれた。そのお茶はシナモンのような香りがして、とてもおいしかった。するとイスラエル人のひとりが、「これはイスラエルのお茶で、バイアグラ的効果があるのだ」と言ってにやりと笑った。


e0040591_1810432.jpg昨日もそうしたように、小さなデイバッグに無理矢理荷物を詰め込んで、その両脇にバッグと同じくらい大きな寝袋とマットを取り付け荷造りを終わらせる。

と、たたんだテントが袋に入って地面に転がったままになっている。
このテント、昨日はふたりで交互に持って歩いたのだが、「今日はまずお前が持て」と、カステルが無言で言っているらしい。仕方なく、バッグの前面に取り付ける。


e0040591_18101696.jpgキャンプサイトを出て南に向かう。しばらくするとトレイルが消え、湿地の中を1時間ほど泥だらけになって歩く羽目になった。

湿地を抜けると今度は森に出た。森の先は乾いた土地で、それを抜けると急に視界が開け、氷塊の浮いたトーレ湖とセロトーレ山が見えた。

西の空が曇り始めていた。厚い雲が山に押し寄せ、今にも山頂を覆い隠そうとしている。


e0040591_18102829.jpg腕時計を見ると、すでに午後5時前だった。ここから村までは3時間近くかかるから、夕方6時半の最終バスにはもう間に合わないなと思い、しばらく湖の周辺を散策することにする。

湖畔を歩いていくと、打ち上げられた氷の破片を見つけた。数百メートル先にある巨大な青い氷山から崩れ、湖水に溶かされながらここまで運ばれてきたであろうそれは、クリスタルのように透明で、手にとって太陽にかざすとまぶしく光った。


e0040591_18104037.jpg湖脇のキャンプサイトへ向かう。カステンはここで一泊するといい、わたしは当初の予定通り村まで戻ることにした。
キャンプサイトでカステンにテントを渡し、別れを告げてひとりキャンプサイトを後にする。

早朝5時半から動き回っているので疲れてはいたが、ひとりになって歩く帰り道は幸せだった。カステンはいい奴だったけど、ひとりで歩く山がやっぱり一番だ。


e0040591_18105143.jpg村の近くまで来たところで、白枯れた巨木を見つけた。案内板が立ち、そこにはタバコの火の不始末による火事によって死んだ木であると書かれていた。
これまで道々で、骨のように白い倒木をたくさん見かけて不思議に思っていたが、あれも山火事によるものだったのだろう。

午後8時。エルチャルテンの村に着いた。ピークシーズンだが、幸い2軒目の宿でベッドが見つかり、その家の家長のように宿を切り盛りする11歳女の子と話し、2匹の大きな犬と遊んで、泥のように眠る。

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by tomokoy77 | 2005-12-15 06:10 | Argentina  

El Chalten 1

e0040591_14492013.jpg昨晩は朝まで起きていた。
とりとめのない話をしていたら朝になってしまい、
カラファテの薄桃色した朝焼けを見て、
そのままエルチャルテン行きのバスに乗った。

バスに乗り込むとすぐに眠くなり、そのまま熟睡する。

e0040591_14514274.jpg途中一度目を覚まし、雪山が連なっているのを見たが、
眠くてとても目を開けていられなかった。

エルチャルテンの町に入る直前で、
乗客は全員バスを降ろされ、レクチャーを受ける。
トレッキングコースの説明と、その間のマナーについて。

e0040591_14551610.jpg今日は町で一泊して
明日の早朝からトレッキングを始めようと思っていたが、
町に着くと快晴で雲ひとつない。

いてもたってもいられず、町より山で一泊しようと思い、
テントや寝袋を借りに行った店でドイツ人と出会った。
彼もこれからキャンプサイトに向かうというので、
テントをシェアすることにして一緒に町を出る。

e0040591_14544283.jpgトレイルの脇に、見たこともない花がたくさん咲いていた。
同行のドイツ人カステンは花に詳しい。
これは百合の一種だと教えてくれた。

世界には30000種を超える百合があるのだという。
「いつか自分で新しい百合を発見したい」と彼はいい、
彼と同じく花が好きだというお母さんのために、
何枚も写真を撮っていた。

e0040591_14554620.jpg1時間ほど歩いたところで、前方にフィッツロイが見えてきた。
標高3,405mの主峰と、
その両脇に並ぶいくつもの円錐形の山。

山というより、岩の砦のよう。
天に向かってまっすぐにのびるこの垂直の壁は、
世界中のクライマーにとって憧れの的らしい。
あの壁をどうやって登るのか、想像もつかないことだけど。

e0040591_15323619.jpgフィッツロイの全景を見渡す展望台で。

初冬のフランクフルトは
平均気温が0℃を割っていて、
毎日曇りと雪の日が続いているという。

そんな町から飛んできたカステンは
照りつける陽光がよっぽど嬉しいらしく、
裸になって日光浴。

30分後、展望台を発って森へ入る。
「ドイツの森とはずいぶん違う」と彼は言った。

e0040591_14565822.jpg夕方5時といってもまだ日は高い。
Poincenot キャンプサイトに到着。
すでにたくさんのテントが建っている。

キャンプ用のガスを持たないわたし達は、
パンとサラミで夕食を済ませる。

e0040591_14571889.jpg西日はフィッツロイのすぐ近くに
真昼のような明るい光を放ったまま
ゆっくりと沈んでいった。

パタゴニアの春は
山の中だっていつまでも明るい。

フライシート越しにさんさんと光が降ってくる中、午後9時、寝袋にもぐりこんで就寝。
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by tomokoy77 | 2005-12-14 14:36 | Argentina  

湖上

 「湖上」    中原中也

ポッカリ月が出ましたら、舟を浮かべて出かけませう。
波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、櫂(カイ)から滴垂(シタタ)る水の音は
昵懇(チカ)しいものに聞こえませう、── あなたの言葉の杜切(トギ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(クチヅケ)する時に 月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、よしないことや拗言(スネゴト)や、
洩らさず私は聴くでせう、── けれど漕ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、舟を浮かべて出かけませう、
波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。

              「桐の花」 1930年(昭和5年)8月号



 カラファテの湖の上にも、この晩ポッカリと月が出ました。

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by tomokoy77 | 2005-12-13 02:33 | Argentina  

ペリト・モレノ

カラファテ最大の見所、もしかしたらパタゴニア最大の見所でもあるかもしれない、
ペリト・モレノ氷河を見に行ってきた。

e0040591_724975.jpg車にのって国立公園に入る。
しばらくすると遠くに氷河が見えてきた。

でっかい!


e0040591_7382039.jpg船に乗って近づく。

空より青い! 青より青い!

これまで山で見てきた氷河とは違う。
ぎざぎざに尖っていて、
まるでこちらのほうがよっぽど山らしい。



e0040591_7493288.jpg全長35km、高さ約60m。
先端の幅は5kmもあるから、
この距離からじゃ、
とても一枚の写真にはおさまらない。

氷の塊に見えるけど、
氷河というのだからこれでも”河”だ。
一日に数十センチずつ動いているという。



e0040591_811041.jpgその証拠に、
前面の氷河は時折崩落を起こす。

パーン!という、
花火か鉄砲のような音がして見ると、
氷の塊が湖に落ちて飛沫を上げている。



e0040591_8222312.jpgこの日は快晴で、
氷の間近にいるのに汗ばむほど暑く、
幾度となく崩落が起きた。

立ち去る直前、
氷河のてっぺんからひときわ大きな氷が落ちた。
轟音をたてて湖に落ちる。
周囲から「ひゅーっ」と歓声が上がった。



e0040591_8154499.jpg山に降った雪が固い氷河となり、
それが35kmの移動を経て崩落し、
湖に溶けて川となって流れ出し、
海へ向かい暖められ、
水蒸気となって空に昇り、
雲になって世界を旅して、
再び雨となり雪となり
形を変えて地上に戻ってくる。


e0040591_7545932.jpg雪から氷へ、氷から水へ、
水から水蒸気へ、水蒸気から雲へ、
雲から雨へ、雪へ、
何十年か、何千年かの永い永い旅。

2年やそこらのわたしの旅なんて
この氷の旅に比べたら一瞬の出来事だ。

氷河の手前に咲いていた、
ファイアーフラワーと呼ばれる赤い花と氷河。
各々の寿命はだいぶ違うけれど、
どっちも等しく生きていて、どっちも等しく美しい。
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by tomokoy77 | 2005-12-12 07:18 | Argentina