カテゴリ:India( 41 )

 

ババ

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2月16日はシヴァラートリー。ヒンズー教の主神のひとり、シヴァ神の誕生日。聖地バラナシには、この日を祝うためたくさんのババ(行者)が集まっている。
今年はバラナシからそう遠くない町で、クンブメーラという12年に一度の祭りが開かれていた。その祭りに参加していたババが、今はバラナシに集結している。

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普段はヒマラヤの奥地にこもって修行しているババも、この日のために山から下りてきていた。裸の体に灰だけ塗って、ガンジス河沿いにテントを立てて、祈り、梵をして、訪れる巡礼者を祝福しながらシヴァの誕生日を待つババがたくさんいる。

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ババ達のテントを覗き込むと、手招きして迎えてくれ、静かにチャイを勧めてくれる。英語の話せるババはほとんどおらず、身振り手振りと片言のヒンドゥー語で話をする。
「どこからきたの?」とババに聞くと、「ハリドワールの奥から」という。ハリドワールは、ガンジスの源流に近い聖地だ。その奥にはヒマラヤ山脈が連なる。ババはそこで修行しているようだ。同じ人間なのに、ババとわたしは随分違う生活を送っている。

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「修行して、何を見つけたいの?」「ババの家族はどうしたの?」
聞きたいことはたくさんあったけれど、言葉が通じない。ババは静かに、火鉢をかき混ぜる。わたしは黙ってチャイを飲む。視線が合うと、ババは目の端で笑う。

バラナシは明日、何万回目かシヴァの誕生日を迎える。
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by tomokoy77 | 2007-02-16 20:54 | India  

ブータン

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ダージリンから南東に行ったところに、ジャイガオンという町がある。ブータンと国境を接した小さな、しかし猛烈にゴミゴミした町だ。
写真左は、イミグレーション。門の向こうはブータン側の町プンツォリンだ。両国の国境はこの門と、写真右のような幅1mほどの側溝で隔たれている。

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ブータンは半鎖国状態を続けている国で、ビザがあっても自由旅行はできず、一般の外国人観光客には一日200ドル以上の強制使用が義務付けられている。
しかし、ここプンツォリンだけは、ビザも200ドルも必要なく、お金はないけどブータンを垣間見たい外国人にとってありがたい国境であるはずだった。

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イミグレーションの門を抜けて、ブータンに入国。パスポートチェックも何も無い。が、しばらくして振り返ると、一緒に門をくぐった人たちの姿が見えない(あとで分かったが、イミグレの係官に止められていた)。
そう。この国境が外国人に対して開放されていたのは2年前までの話。現在、外国人はブータンビザを取得し、ツアーに参加しなければ入国できないそうだ。

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でも、入国できちゃったよ・・・。
ブータン人は日本人に似ている。民族衣装は日本の着物にそっくりだし、洋服を着ている若い子の中には、日本人と見間違えそうな子もたくさんいる。係官はわたしをブータン人だと思ったんだろうな。
プンツォリンにはインド人も多く、隣のジャイガオンと違うところといえば、建物の造り、仏教寺院があること、そして何よりも路上にゴミが落ちていないということくらい。でも、まあ、なにはともあれここはブータンなのだ。
プンツォリンは30分もあれば一周できてしまう小さな町だった。ゴミの無い快適な道を歩き、寺に参拝し、ブータンの空気を思いっきり吸って、ゴミと人が溢れかえるインドに戻った。
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by tomokoy77 | 2007-02-11 21:14 | India  

西ベンガル州北部及びシッキム州の10日間

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コルカタから列車に乗って北に向かう。途中の駅で、世界遺産に登録されているトイトレインという、その名の通りおもちゃのように小さな登山列車に乗り換えて、最初に目指したのはダージリン。紅茶の産地で有名な街だ。

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目的は、第一に山を見ること。ダージリンのずっと北、チベットとの国境あたりに、カンチェンジュンガという世界で3番目に高い山がある。
しかし、連日の曇り。のみならず、霧に雨。日照時間はゼロに等しく、洗濯物は3日干しても乾かない。なにより、寒すぎる。山もほとんど見えず、寒さに震え、雨に降り込められ・・・。

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ダージリンの町外れに、ヒマラヤ登山学校という、登山家を育成するための学校がある。初代校長は、テンジン・ノルゲイ。エベレストに初登頂したシェルパだ。
学校併設の博物館には、ノルゲイがエベレスト登頂時に使用した装備が飾られていた。こんな装備で登ったのか!?驚くほど粗末なものばかり。
博物館の一角には、田部井淳子さんのサイン入りパネルがあった。エベレスト女性初の登頂者だ。他にも歴代の登山家たち。大半が山で命を落としている。

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ダージリンを後にして、さらに北へ、シッキム州のぺリンへ向かった。40軒のホテルと、数軒の雑貨屋から成る、山を見るためだけに存在するような村。
そこに4泊した。結局、一度も山を見ることができなかった。連日濃い霧が出て、ただ寒さに震えるばかり。それでも、シーズンオフの村は静かでのんびりしたいいところだった。ここまで来ると、いわゆるインド人の姿はかなり少なくなり、代わりにネパール人やチベット人の姿が目立つ。チベット人の容姿は日本人にとても似ているから、時々日本の田舎に来たような錯覚を覚えることがある。

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インドといえばとにかくカレーばかり食べているイメージがあって、それはあながち間違ってもいないのだが、このあたりではチベット料理もよく目にする。トゥクパといううどんに似たものや、モモという蒸し餃子はどこでも食べられる。香辛料に疲れた胃にはありがたい。
ぺリンを後にして、シッキム州の州都ガントクヘ向かった。そして、10日ぶりに、雲の隙間からわずかにのぞく青空を見た。夜には星も出た。明日はきっと晴れると信じて、朝6時、寒さに耐えて、ホテルの屋上へ出た。

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さえぎるものの何もない北の空に、カンチェンジュンガが、朝日を受けて赤く染まりはじめていた。願って願ってようやく目にしたその姿は、本当に神々しかった。
(ところで、豊川のおばちゃんはブログを見ているだろうか?おばちゃーん、シッキムは蘭で有名らしいね。日本にはもって帰れないけど、きれいな蘭がたくさんあったよ。花祭りもあるみたい。いつかおじちゃんと来てはどうですか?)
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by tomokoy77 | 2007-02-10 23:54 | India  

彼女のインド

e0040591_20592868.jpgコルカタの常宿パラゴンで、インドに来るのは初めてという28歳の日本人女性に出会った。
3週間の予定という彼女は、緊張と興奮がないまぜの、でも不思議と輝く表情で、初インドの印象を語ってくれた。
「毛穴がきゅっとする」と言う。外に出ると、インドの空気と人に圧倒されて、全身の毛穴がきゅっと締まる感じがすると言うのだ。

ああ、その感覚。わたしも初めてインドに来たとき感じたなあと思った。安宿から一歩外へ出ると、大通りにもかかわらず牛がいて、路上で眠る人がいて、あちこちから怪しげな人が声をかけてきて、期待と不安が押し合いへしあいしながら、びくびく、わくわく歩いたものだった。

今は違う。すっかり、こちらの世界に慣れてしまった。ボラれないコツも知っているし、怪しい人には近付かない。言葉が通じない国へ行っても、ガイドブックがなくても、どうにかやっていける。道路の上に何が落ちていようが誰が寝ていようが、出された食事に食べ物じゃないものがわんさか入っていようが、さして驚かない。たまに驚くような事態に遭遇しても、その驚きはいつまでも続かず、さーっと波が引くように去ってしまう。

旅ばかり3年もやってきたのだから当たり前だけれど、彼女のきらきらした顔を見て、何もかもが驚きと興奮の連続という様子を見て、懐かしく、少し羨ましかった。彼女の目に映るインドと、わたしの目に映るインドは、たぶん随分違う。
旅も潮時かな、と思った。驚いたり興奮することばかりが旅の目的じゃないけれど、この旅は、もうこれで一度切り上げたほうがいいかもしれない。得るものもなく、考えることもなく、ただ刹那的な楽しみを積み重ねるだけの旅なら。

そう思った途端、まわりの景色が再び鮮やかな色を帯びた。もう2度と過ごすことができないかも知れない時間だと、しみじみ思えたからだろう。旅も残りわずか。旅の始まりのころのこの感覚を思い出させてくれた彼女に感謝。
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by tomokoy77 | 2007-01-28 20:58 | India  

国際電話

久しぶりに実家に電話を掛けた。初めに妹が出て、次に母と話し、最後に父と話した。おばあちゃんはもう寝てしまっていた。声を聞くのはいい。メールより、ずっと近い。

e0040591_20555928.jpg驚いたことといえば、1月17日付けの日記”切るか切らぬか”を読んだ母が、「とこちゃん、太ったねえ!」と言ったことだ。
・・・お母さん、あの写真はインド人のおばちゃんの後姿ですよっっ!!!

本当にわたしだと思ったんだろうか。冗談を言っている風でもなかったし。2年近く会っていないんだもんな。間違えたって無理もないかもしれないが、それにしたってなんだかなあ。
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by tomokoy77 | 2007-01-26 20:55 | India  

消えゆくもの

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消え行く、コルカタ名物の人力車。”リクシャー”と呼ばれるそれは、日本の人力車にとてもよく似ている。
1997年、政府の取り決めによりこのリクシャーの新規ライセンス発行が停止された。営業できる道路も制限され、つまりは現在のライセンス所持者が仕事をやめるにつれ、リクシャーの数も減っていくことになる。
とはいえ、11年前と3年前と今と、サダルストリート周辺を走るリクシャーの数がそれほど減ったようには見えない。見えないけれども、確実に減少しているのだろう。
消え行くことが定められたものはなんだか悲しい。絶滅危惧種の野生動物みたい。いつかは全部消えて無くなるのだけど、そのいつかがそう遠い先でないと知ることは寂しい。
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by tomokoy77 | 2007-01-24 21:01 | India  

最初の客

e0040591_2052481.jpg増えてしまったお土産やあれやこれ。まとめて日本に送るため、中央郵便局へ行った。

インドの国際小包は、基本的にダンボールなどに入れて梱包した後、白い布で包んで縫ってもらい、縫い目を蜜蝋で封をしてもらわなければならない。郵便局がそう決めている。よほど局員が信用できないらしい。

ダンボールを抱えて郵便局内をうろうろしていると(大体どこの郵便局でも、あっちで中身のチェックを受けろ、あっちで用紙に記入しろと、いくつもの窓口をたらい回しにされる)、白い布を持ったおじさんが近づいてきて、口々に「俺に任せろ。30Rsでいい」と声をかけてくる。

一番安くしてくれたおじさんに付いていく。手馴れた様子で白い布を裂き、ダンボールをくるんで縫い始める。「お前は俺の今日最初の客だ。最初の客は大事なんだ。だからお前には良心的な値段で提供するんだ」とおじさんは言う。インドでよく聞く言葉だ。商売上の口上に過ぎないかもしれないが、とにかく最初の客だからという理由でまけてくれる人は多い。
時刻はすでに12時前。こんな時間にようやく一人目の客を捕まえているようじゃなあ・・・とおじさんの仕事振りを眺め、タバコ1本をチップ代わりに渡して、郵便局へと戻った。
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by tomokoy77 | 2007-01-23 20:51 | India  

素焼きのカップ

e0040591_20503052.jpgコルカタ、ハウラー駅前のチャイ(スパイス入りのミルクティー)屋。
バケツの中に、素焼きのカップがたくさん入っている。これにチャイを注いで供し、飲み終えたカップは路上に投げ捨てる。つまりは使い捨て。初めてインドを訪れたとき、なんて勿体ない!と思ったが、素焼きのカップで飲むチャイがおても美味しかったことも事実。

ところが、あれから11年。路上のチャイ屋が、この素焼きのカップの使用をやめ、次々とプラスティックのコップを使用するようになってきた。みんな以前と変わらず路上に投げ捨てるものだから、素焼きのコップと違って、それ土に返ることなく、ゴミの山となってしまう。

コルカタは、ほかの街に比べ、今も素焼きのカップを使っている店が多かった。人力車と同じように、このカップもそれと気づかないほどの緩慢さで姿を消していくのかもしれない。
作った人の指の跡が残る小さなカップに、じっと見入ってしまった。
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by tomokoy77 | 2007-01-22 20:46 | India  

明日のジョー

e0040591_21124959.jpgプリーの宿、SANTANA Lodge には、5000冊を超える日本の本がある。

その中に、見つけた。「明日のジョー 全13巻」。
言わずと知れた、ボクシング漫画。東京のドヤ街を舞台に、丹下とジョーが人生のすべてをボクシングに懸ける物語。

メキシコのサンクリストバルで3巻まで読んだ。あれから1年半。ようやく全巻読み終えた。
熱い漫画だった。まわりの気温が数度上がったように感じるくらい、熱い熱い漫画だった。
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by tomokoy77 | 2007-01-20 21:12 | India  

余さず食べたい

プリーの浜へ行く。大漁大漁。いわしにしようかひらめにしようか。小さい魚はさばくのが面倒だからと、結局大きなかつおを1尾買って宿に帰る。

e0040591_2195958.jpgコヴァラムのときと同様に、シャワー室の床をかつおの血で真っ赤にそめながら、3枚におろす。ひれを取り、皮をはぎ、1時間かけて刺身にする。
数時間前までベンガル湾を泳ぎまわっていたかつお。スーパーでパックに入って売られている、どこか知らない土地から来た魚とは違う。浜へ行き、猟師が水揚げする様を見て、まだ網の中に入っている中から買ったもの。台所さえあれば、頭も骨も、あら煮にして余さず食べたい。

「いただきます」と手を合わせ、頭を下げる。一片を口に放り込む。しょうがの辛さにも醤油の甘さにも負けない、生き物の味がする。自分で釣った魚なら、もっと旨いだろう。帰ったらどこか釣りに行こうと思う。
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by tomokoy77 | 2007-01-19 20:56 | India