カテゴリ:Costa Rica( 2 )

 

アルチスタ

e0040591_4543496.jpgアルチスタ
スペイン語で”芸術家”のこと。

”グランオテルインペリアル”
サンホセいち安いこのホテルには、
2人のコスタリカ人アルチスタが住んでいる。
オスカルとヨセフェ・フリック。2人は絵描きだ。


3畳半の個室を埋めつくす絵は室外に溢れ出し、
長廊下のその一角を、展覧会場のように独占している。

ヨセフェのトレードマークはベレー帽。
携帯電話で誰かと長話しているかと思えば、手にしているそれは小型ラジオだったり、
フロントに飾られたバラの花束に、ハチドリみたいに頭を突っ込んで、
その香りをいつまでも嗅いでいたりする。

風変わりなヨセフェ。
一度描き始めたら、食べることも絵の具を買い足すことも忘れてしまう彼を、
友人のオスカルが支えている。

2人との出会いはこうだ。
廊下の壁を埋めつくす絵に見入っているわたしに、ヨセフェが声をかけてきたのだ。

e0040591_4571369.jpg「ねえ、きみ、サンドイッチを作ってくれない?」

室内をのぞいてみると、
壁に留めた麻袋へ一心不乱に色をのせるヨセフェと、
その横で静かに笑っているオスカルがいた。

「サンドイッチ?」と聞き返すわたしに、
ヨセフェが早口のスペイン語でまくしたてる。

「彼女、解ってないよ」とオスカルは笑って、
「つまり、彼はきみにサンドイッチを作ってほしいんだ。
そこにあるパンとチーズとナイフを使って。」と言う。

「わたしが?」
「そう。彼は絵に夢中だし、
ぼくは明日の朝帰国するアメリカ人のために仕上げなきゃならない作品がある。」
「・・・まあ、いいけど。」

50センチほどもある巨大なバゲットを切り、チーズを挟んでいく。
サンドイッチがひとつできあがるたびに、ヨセフェはすごい勢いでそれを口に運んでいく。
まるで、朝から何も口にしていなかったみたいに。
絵筆は止めることなく。

油くさいヨセフェの部屋から、わたしは動けなかった。
ベッドに腰掛け、サンドイッチをかじりながら、
「あか。あか。しろ。しろ。もっと、しろ。もっと、もっと。きいろ。くろ。あお。あお。あお・・・。」 
色の名前を繰り返しながら、
落書きに夢中な子どもみたいに幸せそうな顔して色を重ねていくヨセフェに、
わたしは見惚れてしまった。


e0040591_513120.jpgコスタリカ、サンホセ。
この町へ来ることがあれば、チーズ入りのサンドイッチを片手に、中央市場に面したこのホテルの81号室を、ぜひ訪ねてみてほしいと思う。
体中絵の具だらけにした2人のアルチスタが、
きっと笑顔で迎えてくれることだろう。
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by tomokoy77 | 2005-08-15 14:52 | Costa Rica  

それも運

中米をどんどん南下。昨日の夜、コスタリカの首都サン・ホセに着いた。

今日は月曜日。
しかしコスタリカは「母の日」のため祝日。銀行も全部閉まってる。

手持ちのコスタリカ・コロンが全く無いので、仕方なく路上の両替商と両替する。
が、なぜかみんなわたしの差し出すドル札をチェックして、「これはだめだ」と突っ返してくる。
なんで? 仕方ない。レートは悪いがホテルで両替してもらおう。

あ・・・・・・てゆーかこのドル、偽札になってない?

やられたよー。
ドルをチェックする振りしてすり替えたんだな。分かんなかったよ・・・。

先日、グアテマラ-エルサルバドル国境で、K太郎が両替詐欺に遭ったが
(計算機に細工がしてあった。アジアではよくある手だ)、
なるほど。他にもいろんな手口があるもんだ。世界は広いねえ。
・・・しかしこの偽札どうしようか。
よくできてるなあ。本物に見えなくもないし、強盗に遭ったときにでも使うことにしよう。


そういえば、コロンがなくて朝からなにも食べていなかった。
ホテルで10ドルだけ両替してもらい、近くにある食堂に入る。
タコスとフライドポテトとサラダのセットを頼む。
運ばれてきたそれは、すべてにマヨネーズとケチャップが山ほどかけてあって、
サラダはただの千切りキャベツだ。悲しい味がする。無言で口に運ぶ。

e0040591_733744.jpgサン・ホセで一番安いホテルに帰る。
一泊2300コロン。4.5ドル。

部屋は、まるで、独房。
暗いし狭いし、窓がない。
外は雨だ。
祝日で、市場も商店の大半も、すでに閉店してしまった。
この街で、することがない。

「偽札つかまされるなんて、運が悪かったね」と人は言うだろうか。

ホテルの前の路上には、朝からずっと同じ場所で眠り続けているおじさんがいる。
着ているものは真っ黒に汚れ、破れている。
靴も履かず、雨が降り出して肌寒いくらいの路上で、ずっと。
通りの人は振り向きもしない。
路上に、人が倒れていることなんて、ここじゃ日常茶飯事だから。
コスタリカだけじゃない。中米のほかの国にも、アジアでも、そういう場所はたくさんあった。

彼の運は、いったいどれくらい悪いというんだろう。
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by tomokoy77 | 2005-08-15 13:23 | Costa Rica