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ヨルダン一日目、マアーンでのこと

エジプトはカイロからバスで9時間、ヌエヴァへ。
ヌエヴァから船に乗って3時間、ヨルダン南部の街アカバへ。

アカバ到着時、時刻は夜の7時。ワディ・ムーサという街へのバスを探したけれど見つからず、仕方なく手前の街マアーンまでバスに乗って移動することにした。

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マアーン到着は夜の10時。バスターミナルには、ワディ・ムーサ行きどころか、既に一台のバスも無かった。

困ったことに、手持ちのJD(ヨルダン・ディナール)が少ない。アカバからマアーンまでのバス運転手、アワッドさんに、「マアーンのホテルはいくらくらいする?」と聞くと、「5~7JD(900円~1200円)くらいかな」と言う。

・・・無理だ。

無言でバスを降りようとする私に、アワッドさんが声をかけてくれた。「ホテルへ行くのか?」「いや・・・。お金が無い。このままバス停で寝る。」と、私。
外に出る。吐く息が真っ白だ。寒い。しかし、どうしようもない。


と、アワッドさんがバスから降りてきた。

「おれは明日、客を乗せてアカバに戻る。バスはここに置いておくから、お前、バスの中でも寝られるか?」と言った。もちろん!路上で寝るよりずっとマシだ。

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アワッドさんは、バス後部の座席に毛布を敷いてくれ、それからひとりでふらりと外へ出て行った。10分後、彼の手にはシュワルマ(中東風サンドイッチ)とペプシ缶が2本握られていた。

「食え。」と言う。「いくらするの?お金を払うよ。」と私が言っても、「いいから、まあ食え」と言う。

朝から何も食べていなかった。にんにく入りクリームソースの効いたチキンのシュワルマは、とても美味しかった。飲めないペプシも(わたしは炭酸飲料が飲めない)、強く勧められるので飲んだ。


結局、アワッドさんは食事代を受け取ってくれなかった。3枚のぶあつい毛布を押し付けるようにして、彼は友人宅へ泊まりに行った。わたしが居なければ、バスで寝ていたはずだ。ドアを開けて外に出る彼の背中に、「I'm sorry...」と声を掛けた。


エンジンの切られたバスの中は、冷蔵庫の中みたいに寒かった。毛布の重みが息苦しくて、なかなか眠れなかった。

眠れない頭で考えた。どうしてさっき、「sorry」じゃなく「thank you」と言わなかったんだろう。あんまり親切にされると、つい申し訳ないような気持ちになってしまう。遠慮が美徳の日本人だから?でも、親切にしてもらっておいて謝るなんて、おかしなことだ。

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翌朝7時。アワッドさんの声で目を覚ました。
「ワディ・ムーサ行きのセルビス(乗り合いタクシー)を捕まえてきたよ。」

セルビスに乗って、彼に頭を下げた。「シュクラン(thank you)」と私が言うと、
アワッドさんは嬉しそうに笑ってバスへ戻っていった。
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by tomokoy77 | 2006-11-30 00:49 | Jordan  

エジプト

なんだかんだで、すっかりブログから遠ざかっているこの数ヶ月・・・。エチオピアやマダガスカルみたいに、ネット環境が整っていないというわけじゃない。日程的にきつい旅をしているとか、疲れているとか、そういうんでもない。ただ、気持ちの上で忙しい毎日が続いている。途中4ヶ月半の一時帰国をはさんだとはいえ、足掛け3年近い旅が、もうすぐ終わろうとしている。

あれもこれも、色々放り投げて旅に出てきた。帰ったら、やらなくちゃいけないこと、決めなくちゃならないことがたくさんある。どこに住むか、どんな仕事に就くか、どうやって生活していくか。
アフリカを旅している頃、帰国後のことを考え出したら止まらなくて、嫌になったり不安になったりしていたとき、お姉ちゃんのような存在の人が言ってくれたことがある。「帰ってきてからのことは、帰ってきてから考えたらいいよ。今は今しかできないことをしておいで。」と。

お陰で、それから数ヶ月の間は旅に集中できていた。けれどもここへ来て、帰国まで3ヶ月を切った今になって、やっぱりまた考えてしまう。「帰ったら、どうしよう・・・」
今考えたって仕方のないことも多い。帰国してやってみなくちゃ分からないことが大半だ。それでも考えてしまう。時には、目の前の景色が目に入らないほどに。


イエメンからは、オマーン、UAE(アラブ首長国連邦)と旅をして、エジプトに飛んだ。オマーンとUAEは、物価が高くて少ししかいられなかったけど、どちらも面白い国だった。
エジプトは、ルクソール、アスワン、カイロと旅をして、今は紅海沿岸のリゾート地、ダハブにいる。リゾート地といっても、今はもう冬の始まり。海から上がると冷たい風が吹き付けてきて、凍えるほどに寒い。

それでも、ダイビングをしない、シュノーケリングも殆どしたことのないわたしにとって、ここの海に潜った(シュノーケリングした)価値は大きかった。海岸からばしゃばしゃと数歩歩いて海に飛び込むと、そこはまるで水族館の水槽の中みたいだ。

珊瑚が、こんなにカラフルなものだとは知らなかった。エンゼルフィッシュ、ナポレオンフィッシュ、他にも名前を知らないたくさんの魚。海より山のほうが好きなこともあって、これまで知らなかった海の中の世界。世界の7割は海なのに。

ダハブはダイビングのライセンス取得料が安く、日本人のインストラクターもいるとあって、ライセンス取得を目的として、ここを訪れる日本人旅行者も多い。ダイビングをしてみたら?と、わたしも勧められたけれど、ブルー・ホールと呼ばれる巨大な海の穴を上から眺めて、水面近くに浮かぶわたしを尻目に、青の中へ吸い込まれていくダイバーたちを眺めて、羨ましいと思うより先に、怖いと思ってしまった。

海難事故に遭った経験があるわけでも、泳げないわけでもない。けれども何故か、海は怖いところだと思ってしまう。
「山には良い神様が住んでいて、海には悪い悪い悪魔が住んでいる。」インドネシアのバリ島では、そう信じられていると聞いたとき、何故だか至極納得した。

そういう訳で、ダイビングはやらないけれども、初めて見たたくさんの珊瑚や魚には、おおはしゃぎだった。エジプトといえば、ピラミッドやアブシンベルなどの巨大遺跡が真っ先に思い浮かぶ。確かに、どの遺跡も紀元前からの歴史を持っていて、その巨大さに圧倒されたけれど、やっぱりわたしは、小さくても生きているものが好きだ。

そろそろ帰って、宿の番犬ローイと遊ぼう。ローイは、黒い毛長の、大きくてとても賢い犬だ。海沿いの町らしく、ここには猫も多い。ベドウィンの飼っているラクダも、あちこちで見かける。海にも陸にも、たくさんの生き物がいる。こういう町には、いつもならついつい長居してしまう。
しかし、今回は時間がない。中東からアジアへ飛ぶ飛行機が、年末に向けてぐんぐん値上がりしてしまう以上、急ぎ足で中東を抜けなければならない。エジプトの後はヨルダン。それからシリアへ行く。そしてシリアの後は・・・。
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by tomokoy77 | 2006-11-27 04:30 | Egypt