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先生

先生_e0040591_9244818.jpg「K子を探してるの?」

Vilcabanba の村を散歩していたら、
10歳くらいの女の子に突然尋ねられた。
その後も2度同じことがあった。
「K子の友達なの?」 「K子を知ってる?」 

・・・K子って誰?

K子さんは、青年海外協力隊員として、この村の小学校で音楽と体育を教える先生だった。
小さな村で、K子さんの家はすぐに見つかった。

突然訪ねてきた私たちを、K子さんは快く家に上げてくれ、
スパゲティとお好み焼きをご馳走してくれた。
(久しぶりに鰹節を食べた。旨い!K子さんありがとうねえ)
もう村を出るつもりだった私たちは、予定を変更。
延泊を決め、K子さんの住むホテルに移動した。


「子どもっちの遊び道具を作りに行かない?」 と、K子さんが言った。
この日は臨時休校。

先生_e0040591_919488.jpg学校はホテルのすぐ隣にある。
段ボール箱に細工してつなげ、トンネルを作ることに。
ガリガリとダンボールに穴を開け、窓を作る。
こういうのは得意なのだ。文化祭の準備みたいで懐かしい。
大雨が降り、日が落ちるころ、
手作りトンネルはようやく完成。

わたしとK子さんは一歳違い。
働くK子さんと旅する私の立場はずいぶん違うけれど、
この晩夜遅くまでいろんな話をした。

先生_e0040591_9224686.jpg翌日は快晴。久しぶりに7時前起床。
 
5~6歳の子どもたちは、トンネルをセットすると、
我先にと中に入っておおはしゃぎ。
ペンキを用意して子どもたちの手に塗り、
トンネルの壁にスタンプさせる。
服にいっぱいペンキがついちゃった。
家に帰って、みんな怒られないといいんだけど。


先生_e0040591_9243326.jpg30分の中休み。
校庭のすみに、先生たち手作りのおやつが並ぶ
即席商店ができあがっている。
どうやらこれは先生のサイドビジネスになっているらしい。

校庭では、K子さんが教えたのだろう、
長縄跳びをしている女の子たちがいる。


先生_e0040591_924099.jpg後半は音楽の授業。
たて笛と、日本から送ってもらったというピアニカ。
たて笛もピアニカも、何年ぶりに触るだろう。
K子さんのピアノに合わせ、黒板の前に立ってたて笛を吹く。
緊張!子どもの視線が痛いよー。


わたしの両親は教師で、母は今も小学校で働いている。
この前一時帰国したとき、新一年生の教室に貼る掲示物を一緒に作った。

先生_e0040591_9232243.jpgK子さんの学校で1日遊ばせてもらいながら、
母はこういう仕事をずっとしてきたんだなと思った。

体力がいる。根気が要る。
決して楽な仕事じゃない。
でも、なんてやりがいのあるいい仕事だろうと、
今更ながら、両親を誇りに思った。


村を出る夜。バス停までK子さんが見送りに来てくれた。
ペルー行きの国際バスに乗る私たちを見て、K子さんは「いいなあ」とうらやましそう。
治安上の問題から、エクアドルで働く隊員のペルー入国は禁止されているという。

先生_e0040591_9273952.jpg留まる者。 動く者。
わたしもいつか、ここと思う場所に留まって、
根を下ろして暮らしたいと思った。
でも、今は動く。旅をする。

K子さん、ごめん。先にペルーに行くね。
K子さんは、きっと子どもたちの記憶に残る先生になれるよ。
いつか、また会おう。

by tomokoy77 | 2005-10-12 09:16 | Ecuador  

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