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長距離移動と、追いかけてくる魂

トルコ、イスタンブールから、南インドのコーチンへ飛ぶ。

トルコとインド。近いようでいて随分違う。気温は20度増し。言葉も民族も宗教もがらりと変わる。U.A.E.経由、7時間半のフライトで、周りの景色が一変してしまう。こんな風に景色が一変することは、主に陸路で旅をしてきたわたしにとって、あまり馴染みがない。

今回の旅の間にも、長距離のフライトを何度か経験したことはある。東京→バンコク、ネパール→大阪、東京→フェニックス、ブエノスアイレス→ケープタウン。どのフライトも風景の変化をもたらしたけれど、イスタンブール→コーチンほどの変化はなかった。

コーチンの空港に着いて、わたしの頭は混乱していた。当たり前だ。ついさきまで、寒い都会にいたのに、急に緑あふれる南国の地方都市へやってきてしまったのだから。

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ふと、先日イスタンブールで出会った写真家のSさんが聞かせてくれた話を思い出した。ネイティブアメリカン(たしかアラスカに住む人たちだったと思う)は、飛行機で遠くへ移動したとき、到着した場所でしばらくじっとして動かないのだそうだ。それは、自分の魂がやって来るのを待っているからだという。わたしもそれに習って、しばし空港でじっとしてみた。しかしイスタンブール→コーチンはかなり遠いとみえて、魂はなかなかやって来る気配がない。

本当は、こんな風に一気に移動してはいけないんだと思う。表向き、人間は次の土地にすぐ順応するけれど、心の一部はまだ前の土地を彷徨っているのだ。人間の心が環境の変化に対応できる限界速度は、歩く速度を超えることはないと思う。

ということは、3年前に旅を始めたわたしの魂の一部は、東シナ海を歩いて渡って東南アジアに入り、ミャンマーを歩き、バングラデシュを歩き、そろそろインドに到達する頃か。もしかしたら、インドで再会できるかもしれない。ここまでずっと歩き続けてきた、わたしの魂の一部に。

by tomokoy77 | 2006-12-18 20:09 | Turkey  

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